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前ページまでで、「あ なたの目的に区分ワンルーム投資が合致するのか?」「あなたにとって、区分ワン ルーム投資は詳しく学ぶに値する投資手法なのか」を 確認させていただきました。
ここから先は、実際に区分ワンルーム投資を行う方に向けた内容に移っていきます。
まずは前ページでも少し触れた、「区分ワンルーム物件は資産価値(担保価値)がない」と 言われる点について、正しく理解するところから始めましょう。
区分ワンルーム物件にも取引相場があり、少なくとも東京近郊エリアであれば、大抵の物件は数百万円以上での売却が可能で、資産価値がないはずはありません。
しかしながら、金融機関が融資判断をする際、区分ワンルーム物件は担保価値として殆ど評価してもらえないことが少なくないのです。
複数保有を目指す区分ワンルーム投資において、重要かつ避けては通れないテーマですので、本ページでは、区分ワンルーム物件の資産価値、とりわけ担保価値に ついて、詳しくご説明していきます。
まずは、以下をご理解ください。
区分ワンルーム物件 =按分された土地 +建物
区分ワンルーム投資というと、あたかもマンションの1部屋だけを購入しているように思えますが、実際には、土地(マンション所有者全員で按分したマンショ ンの敷地)も合わせて購入しています。
そのため、区分ワンルームの資産価値(担保価値)を考えるにあたっては、「土地」と「建物」の価値を分けて考える必要があります。
では、まずは、土地の資産価値(担保価値)から説明していきましょう。
土地には、売買価格のほかに、資産価値の尺度として以下4つの価格があります。(よく、「一物四価」と表現します)
■公示地価(公示価格)
国土交通省が定める土地の価格。毎年1月1日時点の価格を3月頃に公表。
■基準地価(基準値価格)
都道府県が定める土地の価格。公示地価を補完する。毎年7月1日時点の価格を9月頃に公表。
■相続税路線価
国税庁が定める土地の価格。毎年1月1日時点の価格を7月頃に公表。
公示地価の8割程度が目安。
■固定資産税評価額
市町村が定める土地・建物の価格。3年毎に1月1日時点の価格を4月頃に公表。
公示地価の7割程度が目安。
区分ワンルーム投資でも、これら一物四価をシーンによって使い分けるのですが、本ページでは、とりわけ担保価値をご理解いただきたいので相 続税路線価に着目ください。
基本的に、金融機関は土地の担保価値を測る際、相続税路線価を基準にすると言われて いるからです。
相続税路線価は、本来、土地を贈与・相続した際の課税標準を求めるために国税庁が定める土地の価格で、国の定める公示地価の8割程度が目安とされます。
但し、ここで注意したいのは、区分マンションでの土地の持ち分は、マンション敷地全体を按分した持ち分に限定されます。
そのため、相続税路線価から算定した土地の価値に、さらに土地の持ち分比率を乗じた金額が、区分ワン ルーム物件における土地の価値ということになります。
特に都市部に多い、狭い土地に縦長に建設されたマンションなどでは、土地そのものの価値は高くとも、持ち分比率が僅かゆえ、殆ど資産価値が残らないという状 況が生じてしまうのです。
つづいて、建物の資産価値(担保価値)を見ていきましょう。
建物にも、売買価格以外にも、資産価値の尺度として固定資産税評価額がありますが、金融機関が使うことはあまりないとされ、もっぱら「再 調達価格を基準に経年劣化分を減じた価格」が用いられるとされています。
再調達価格とは、「当該不動産と同等の建物を作るとしたらいくらかかるか」という発想によるのですが、実際に細かな仕様を計算するのは困難のため、一般に 以下のような単価で計算されます。
<1㎡あたり単価>
■木造・軽量鉄骨 :12万円~15万円/㎡
■重量鉄骨 :15万円~18万円/㎡
■鉄骨鉄筋 :18万円~20万円/㎡
区分マンションであれば鉄骨鉄筋が多いと思いますので、例えば20㎡であれば、360万円~400万円前後が資産価値(担保価値)として算出されることにな ります。
但し、これは新築の場合で、実際には建物の価値は古くなるほどに減少するはずです。
多くの金融機関では、税務上の法定耐用年数を用いて経年劣化による減少分を補正しています。
<法定耐用年数>
■木造・軽量鉄骨 :22年
■重量鉄骨 :34年
■鉄骨鉄筋 :47年
たとえば、新築時に400万円の価値があった、築20年の区分マンションであれば、
400万円 ×(47年-20年)÷47年 ≒230万円
という計算になります。
今回ご説明した計算は、「積算法」という不動産の価値を測る有名な計算方法の一つで
す。
前述のとおり、建物の資産価値(担保価値)は経年でどんどん減ってしまいますし、そもそも区分ワンルーム物件は建物(部屋)の面積が小さいため、建物で価値 を大きく取ることが難しいのです。
しかし、土地についても、持ち分比率で按分された価値しか取れず、結局のところ、合算しても大きな資産価値(担保価値)にならない、
という構図ができてしまいます。(一棟物であれば、土地で大きく価値を稼げるのですが、ここが区分ワンルームの弱いところです)
もっとも、金融機関の融資基準は積算法だけではなく、個人の資産や属性、後述する収益還元法などの別の価値尺度なども含めて、複雑な判断のもと評価して決定 されるようです。
積算法で資産価値(担保価値)がでないからといって悲観しすぎることはありませんが、一般論として、金
融機関からの融資は、一棟物よりも厳しく評価されやすいことを、その理由とともに、しっかり理解しておきましょう。(積算法の考えを
知っているだけで、金融機関への相談・交渉はグッとしやすくなるはずです)
次のページでは、資産価値(担保価値)の観点から離れ、区分ワンルーム物件の収益性を判断する尺度について、ご説明していきます。