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3-4.
新築物件が向いている人・いない人
そろそろ新築物件シリーズのまとめに入ります。
前のページで、新築物件が向いている可能性のある人のイメージを整理しました。
<イメージ>
・利回りをあまり求めない人(J-REITと同じかそれ以下の利回りでも不動産投資をしたい人)
・現金で購入できる、またはキャッシュフローがプラスになるまでの頭金が出せる人
・出口戦略として「売却」をとる必要のない人
・節税による効果が大きい人
・とにかく賃貸経営のリスクを抑えたいと思っている人(※)
そして、最後の「とにかく賃貸経営のリスクを抑えたい」について、注意しておくことがあります。
このページではそれについて書いていきます。
まず、再認識しておきたいことは、「リスク」という言葉の意味です。
(一般的にも、このHPのなかでも「リスク」という言葉はお気軽に使われていますが、
実は奥の深い言葉だったりします。いつか別の記事で書きますので今回は割愛。。)
お手軽DCF法のご説明でも少し書きましたが、賃貸経営におけるリスクはたくさんありますよね。
一例として、以下のようなリスクは新築物件では相対的に低くなるといえるでしょう。
・家賃下落リスク
・空室による家賃が受け取れないリスク
・滞納による家賃が受け取れないリスク、不法占拠された際の追い出しリスク
また、以下のリスクは中古取引に比べて相対的に高くなりますが、
転売が不要な人(相続対策での購入など)には関係は薄いのかもしれません。
・転売時の価格低下リスク
ただ、それ以外にも考慮するべき賃貸経営リスクはたくさんありますよね。
たとえば・・・、以下のようなリスクです。
・周辺商業施設の撤退や交通機関の縮退などによる地価下落リスク
・周辺に忌避施設が建築されるなどによるマンション全体の賃貸需要減退リスク
・室内での自殺や事件による事故物件化するリスク
・前後左右に迷惑入居者が入ることによる入居者トラブルのリスク
さて、勘の良い方はもうお気付きかもしれませんが、
最後に挙げたリスク事例は、新築物件だけでなく中古物件でも同じことがいえます。
それなのになぜ、新築物件のときに特に注意が必要なのでしょうか。
その答えは、新築物件の価格帯にあります。
以下は、某サイトで公開されている年代別の平均貯蓄額(シングル家計)の2013年度調査データです。
(この手の調査は政府にかぎらず色んな民間企業が定期的に調査しています)
年代
|
平均値
|
中央値
|
20代
|
342万円
|
129万円
|
30代
|
732万円
|
350万円
|
40代
|
1,153万円
|
600万円
|
50代
|
1,870万円
|
930万円
|
※中央値とはデータを小さい順に並べたときに真ん中(中央)にくる値のことです。
たとえば以下3人の貯蓄額を集計した際、平均値は500万円、中央値は200万円となります。
Aさん 100万円
Bさん 200万円
Cさん 1200万円
このデータによれば、私と同じ30代では中央値で350万円、平均値でも732万円の貯蓄額が一般的のようです。
その一方で、新築区分物件の価格帯は2,000万円~2,500万円です。
前のページで、私の貯蓄額では現金買いはできず借り入れが不可欠、そしてキャッシュフローを
プラスにしようとすれば貯蓄の大半を頭金に回す必要があった、と書きました。
このデータによれば、それは世間一般と比べてもあながちおかしなことではないようです。
ためしに、年利2.5%・35年ローンと仮定し、前のページで登場したサンプル物件で試算してみましょう。
価格 2,150万円(諸費用含む)
収入 96万円(年額)
費用 18万円(年額/建物管理費・修繕費・区分管理費)
計算をシンプルにするため、空室・滞納・家賃下落・運営コスト・税金の支払い等は一切考慮しなくとも、
年間収入は78万円にしかなりません。
その一方、上記条件で借り入れを起こした場合の年間支払い額は以下のようになります。
Aパターン(業者提案のとおり100万円を頭金に) 借り入れ2,050万円 ⇒約88万円
Bパターン(30代貯蓄中央値350万円全額を頭金に) 借り入れ1,800万円 ⇒約77万円
Cパターン(30代貯蓄平均値730万円全額を頭金に) 借り入れ1,420万円 ⇒約61万円
新築不動産業者の営業トークに乗っかって頭金100万円で不動産投資を始めるAパターンだと、
年間▲10万円からスタートします。
また、一般的な貯蓄のある人が貯蓄全額350万円を頭金にしたBパターンだとほぼ収支はトントンとなります。
(計算上は年間1万円のプラス)
少しでも家賃が下がったり、空室が出たりすれば赤字確定の状態ですね。
最後に、集計上の平均値の貯蓄のある人が貯蓄全額730万円を頭金にしたCパターンですが、
これでやっと年間17万円のプラスになります。
これであれば、トラブルがない限り当面は黒字経営できそうですが、貯蓄は全額使い果たしている状況です。
・・・もうお気付きかもしれませんね。
新築物件は、中古物件よりも一定の賃貸経営リスクは相対的に低いことは事実だと思います。
しかし、なにぶんにも価格が高いため、金融機関からの借り入れを行う必要があり、
黒字経営に持っていくには、一般的な家計ではその貯蓄額の大半を頭金に投下することになります。
不測の事態に備えるお金がほとんど無くなってしまうわけですから、
これでは賃貸経営のリスクを抑えられているとは到底いえないでしょう。
これらを踏まえて、私の考える新築物件が優良物件に映る条件は以下のような
イメージだと整理します。
<イメージ>
・利回りをあまり求めない人(J-REITと同じかそれ以下の利回りでも不動産投資をしたい人)
・現金で購入できる、またはキャッシュフローがプラスになるまでの頭金が出せる人
・出口戦略として「売却」をとる必要のない人
・節税による効果が大きい人
・とにかく賃貸経営のリスクを抑えたいと思っている人(※)
※新築物件購入後も十分な剰余資金または資産が残っている前提
・・・う~ん、、、これら条件に当てはまる人ってどんな人でしょうね。。。(笑)
少なくとも私が該当しないのは確定なので(笑)、新築はスッパリと見切りをつけて、
中古専門で探す方向へ舵きりした次第です。。。
次ページからは、中古物件についてのハウツーを書いていきたいと思います。
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